東京地方裁判所 平成6年(ワ)8667号 判決 1995年3月17日
原告
関東綜合建設株式会社
被告
八田静雄
主文
一 被告は原告に対し、金九七万五〇〇〇円及びこれに対する平成六年六月二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 原告のその余の請求を棄却する。
三 訴訟費用は、これを五分し、その四を原告の、その余を被告の負担とする。
四 この判決は、第一、三項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
第一請求
被告は原告に対し、金四八八万〇六五五円及びこれに対する年成六年六月二日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
第二事案の概要
一 争いのない事実
1 本件事故の発生
(一) 日時 平成五年六月二三日午後八時四五分ころ
(二) 場所 東京都新宿区西新宿六丁目六番地先路上
(三) 態様 右場所において、被告運転の原動機付自転車(登録番号「新宿区す三九八」)が原告所有、訴外菅原昭浩運転の普通乗用自動車(登録番号「土浦三三た六六五」、以下「原告車」という。)の右側面に接触した。
2 責任原因
本件事故は、被告の過失によつて惹き起こされたものであるから、被告は、民法七〇九条に基づき、原告に生じた損害を賠償する義務がある。
二 争点
損害
原告は、本件事故による損害として、代車料を主張し、被告はその額及び相当性を争う。
第三争点に対する判断
一 甲二、甲三、甲三、甲一〇、原告代表者本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
原告車は、いわゆるキヤデラツクのリムジンで、本件事故による修理のため、平成五年七月二七日から同年九月三日までの三九日間を要し、その費用は、一一四万九三〇四円であり、この間、原告は、同じくキヤデラツクのリムジンを代車として使用し、代車料として四八八万〇六五五円を要した。
原告は、主として宅地開発、建売建築業を営む他、建設機器の輸出入を行つており、原告車は、現場へ出向いたり、取引先と仕事の打合せを行うために東京へ出かけたり、顧客の送迎のためなどに毎日のように使用し、購入から約三年間で走行距離は約九万キロメートルであつた。
また、原告車には、事務が行えるよう電話機、フアツクスなど機器が備えつけられていた。原告が営業車として特に原告車を使用していた理由は、安全性が高いこと、車内で事務が可能であること、多人数を乗車させることができること、会社の体面などである。
二 右の事実によれば、本件事故による修理のため、原告としては、原告車を三九日間使用することができず、この間営業に使用するために代車が必要であつたことが認められる。
しかし、右認定の原告が原告車を営業車として使用していた理由は、修理期間という短期間であることも考えれば、いずれも国産高級車をもつて十分代替できるところで、代車としてキヤデラツクのリムジンを使用しないことによつて、営業活動に与える支障は特段認めることができず、他に原告の主張を認めるに足りる証拠もない。
結局、原告が代車料として支出した費用のうち、被告に負担させるべき損害としては、一日あたり二万五〇〇〇円、三九日間の代車料九七万五〇〇〇円が相当である。
三 以上の次第で、原告の請求は、前記二記載の額及びこれに対する本訴状送達の日の翌日である平成六年六月二日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度で理由があるからこれを認容し、原告らのその余の請求は理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条、九二条本文、仮執行の宣言につき同法一九六条一項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 松井千鶴子)